シリア空爆

①トランプ大統領はニューヨーク時間で13日午後9時(日本時間14日午前10時)ホワイトハウスからテレビ放送を通じて、

「シリア・アサド政権が有する化学兵器施設に局所攻撃を命じた」と演説しました。

その後国防総省では、ジェイムス・マティス国防長官とジョセフ・ダンフォード統合参謀本部議長が、
「生物化学兵器の製造施設(ダマスカス)、化学兵器の保管施設(ホムス西部)、化学兵器の材料保管・司令拠点(ホムス近郊)の3カ所の化学工場を破壊」

「シリアに対するオペレーションは今回限り」
と発表しました。

アメリカの防衛外交問題のシンクタンクである「ヘリテージ財団」のジェームズ・カノファノ氏は、

「昨年4月6日のシリアへの空爆も化学工場が標的であった。それから1年、我々の警告を無視してまたもやアサドは化学兵器(サリンか!?)を使用して罪もない人々を殺戮した。トランプ大統領の決断は当然のことである。」とさっそく論説していました。

イスラム世界の情勢に詳しいロビン・ライト氏

「今回の空爆で、対ロシア・イラン、中東との緊張を高めることはあるだろうが、間違った対応ではなかった。」とコメントしています。

アメリカとのホットラインを通して、「ロシアはシリアに対して事前に空爆場所と時間を通告していたので工場内とその周辺に人はいなかったので死傷者はゼロ。」とパワーラインにコメントがありました。

考え抜かれた発表時刻

私が注目しているのは、この「シリアの化学工場への空爆」の発表時刻です。

実際の空爆よりも数時間経てからの発表でした。

世界市場は今週の取引を終えていました。

世界情勢に対して敏感に反応する外国為替相場は今週に入って、シリア情勢に関するトランプ大統領のツイッターや要人発言でドル円は激しく動きました。

そのような中で13日の金曜日は、ダウ平均株価もアメリカの主要企業の好決算を反映して一時は24,600ドル。

ドル円も今週は何度もトライしていた岩盤のような堅い天井107.50円を突破して一時は107.80円の手前まで伸びていきました。

もし「シリアの化学工場への空爆」の発表が、アメリカ市場をはじめとする世界市場の取引が行われている時刻であったら、間違いなく市場は混乱して急落していたでしょう。

為替も株も、まずは目の前に突きつけられた現実に、即時に反応します。

そのあとで、情勢を分析して「なぁ~んだ。大したことないじゃん。大勢に影響なし。」と考えられれば元の価格に戻っていったりします。

落ち着きを取り戻す国際金融市場

今回の空爆について、トランプ大統領は「ロシアゲート疑惑」や「中間選挙」を意識して発言していますが、イギリスのメイ首相が上手に総括しています。

「今回の共同軍事作戦は、シリアの内戦に干渉するものではない。シリアによる化学兵器の使用を阻止したものである。化学兵器の使用は国際的に許されるものではない」―と。

もしアメリカ市場が開いている時間の発表であったら、為替も株価も暴落の傷を負ったのではないかと思っています。

これで今週悩まされ続けていた「シリア情勢」についての問題はひとまず終息。

これからも5月の初旬まで、アメリカのグローバル企業の決算がどんどん発表されます。

正常な取引を楽しみにしているのは私だけではないと思っています。

愛菜