私がコンスタントに利益を生めるようになったのは、FXの天才かも…と思える西遊記に登場してくる猪八戒(ちょはっかい)のような先生に出会ってからです。

ほんの少しの勇気が転機になりました

会社では好奇な目にさらされて

当時の私は、信頼していた先輩に自分は精神科にかかっていること、性同一性障害で悩んでいることを打ち明けて、休日や家に帰ったら女性の姿で生活していることをカミングアウトしたのですが、そのことがいつの間にか社内の噂になって、あいつは変態だ、そして女性社員からは侮蔑にも似た目で見られるようになっていました。
「今さら再就職も出来ないし。でもツライな。」と心が押しつぶされそうになっていた頃、会社に一週間の有給休暇をもらって、伊豆にあるホテルで、心が一番落ち着く女性の姿で今後の自分のことを考えることにしました。

女装してホテルのバーへ

梅雨の頃で宿泊客も少なかったので、夜になって勇気を振り絞ってホテルのバーに行きました。
重たいドアを開ける時のドキドキ感はいまでも忘れていません。
席に案内してくれた従業員の方は一瞬で私が男であることを見抜いたと思いますが、そんなことはおくびにも出さないで
「あいにくふたつしかないソファ席の奥の方はお客様がいらっしゃいますが、その手前のお席で背中を向けてお座りになればおくつろぎになれます。よろしいでしょうか。」と案内してくださいました。
奥のソファ席では、テーブルの上に置かれたノートパソコンの画面の明かりで小太りの方が浮かび上がっているように見えました。ヘネシーXOのボトルが隅に追いやられていましたが、ブランデーがお好きなようで甘みが増すクラッシャーアイスで飲んでいました。
カウンター席の3人のお客さんは大きな声で今日のゴルフ談義。
誰にも関心を示されずに自分を楽しめて幸せだな、と思っていました。
私はギムレットをお願いして部屋から持ってきたノートに、今の自分がおかれている状況やこれから自分はどうやって生きていかなくてはならないか、など思いのままに書いていました。
私は没頭するタイプなので、バーにいることもヒールを履いていることも忘れて、ひたすらノートを埋めていました。

出会い

ふと気がついて時計を見ると午前零時前でした。お客さんは奥の方と私。他はバーテンダーと席に案内してくれた方だけでした。
奥の方が、「今日はこれでおしまい。儲かったからみんなにご馳走しよう。ワインでも開けようか。」とお店の人に声を掛けました。
「いつも、ありがとうございます。」とお店の方がいうのを聞いて、きっと常連さんなんだ、と思いながら支払いは部屋付けでお願いしようとルームカードをバックから出そうとしたときに、「お嬢さんもこちらに来て一緒にどうですか。」と背中に声を掛けられました。
えっ、お嬢さん?、私のこと?、と心臓が高鳴りました。
ああ、来るんじゃなかったーと後悔の念。
背を向けたままお断りするのも失礼だし、声は男声だし、私が女装をしているとわかるとせっかくのいい気分を台無しにしまうだろうし…などと迷っているうちに
「さあ飲もうよ。一期一会だ。」といってワインボトルを持って、私の目の前のソファに腰をおろしました。
「私は…。」と顔を上げることも出来ずに帰ろうとすると
「いいから。いいから。人生いろいろ。みんなもこっちで飲もうよ。」とお店の人を手招きしました。
バーテンダーの方が「この人は大丈夫。」と耳打ちしてくれたので、グラスに注がれた赤いワインのゆっくりとした動きに目をやりながら、少しの時間だけならと思ってご一緒することにしました。

猪八戒先生の思いやり

ユーモアあふれるこの方の話を聞きながら、猪八戒みたいな人だ、と思う余裕が出てくると同時に、自分が女性としてひとつのテーブルを囲んで扱われている嬉しさがこみ上げてきました。
「普通の声でいいから話しでごらん。」と私に優しく視線を合わせるので
「私、気持ち悪くないですか。」と聞いてみると
「夜目、遠目、傘の中だ。キレイだよ。」と笑ってくれました。

この方はいくつも会社を経営していること。運営は部下に任せていて、必要な資金は銀行から借りずに、また宿泊代などの経費もFXで稼いでいることがわかりました。

「私も外為取引していて…。」というと正面から強い力を感じました。
「どれくらいやってるの?」
「10年ほどです。」
「利益は?」
「マイナスではないのですが、利益はほんの少しなのでもうやめ時かな、と思っています。」
「通貨ペアは?」
「主にドル円です。」
とそこまでいうと、その方は別の話題に切り替えました。

こんな格好をして、偉そうに私もFXをしているといったものだから嫌われたかな。でも嫌われることには慣れているから大丈夫、と自分に言い聞かせていました。
それでも私は、素敵な時間に満たされていました。

部屋に誘われて

「そろそろ帰ろうか。このお嬢さんの支払いも私に。」という声が聞こえて、その次に
「私の部屋に来ませんか。」と耳を疑うようなお誘いがありました。
心地よい酔いがいっぺんに覚めて、えっ何? どういうこと? 何するの? と頭の中が混乱してきました。
結局、半ば強引に前を歩き始めたその人についていくことになりました。
まぁどうにでもなれ、と無言でエレベーターに乗りその人の部屋の前までくると、
「さぁどうぞ。」とブラジャーの背中のホックに当たる手を感じました。

部屋の中で

その部屋は、入り口だけで私の部屋ぐらいのスウィートルームでした。
うっすらと沈香の香りが漂っている待合室のような部屋を通り抜けて、ドアを開けるとそこはダイニングになっていました。
テーブルの上には並んだ4台のパソコンの画面が間接照明のように部屋中を照らしていました。
画面には、見慣れたローソク足や日経平均先物の指数や米国債の折れ線グラフがありました。

木製の壁掛けの時計は午前2時を過ぎていました。
「アメリカの連中はランチが終わって、これからが本番。欧州勢も引けている時間だから、日本時間の午前6時、ニューヨーク時間で午後5時までがアメリカ勢の独壇場。」
「ドル円は、あくまでドルを買うか売るかの問題であって、日本円はドルに従属している通貨でしかない。だから日本の事情をもとに判断すると相場を間違うよ。」
「さっき、利益はそこそこみたいなことを言っていたけど、FXだって投資なんだから儲けなくては時間を浪費しているだけ。失敗に意味はあっても価値はないんだ。」
「買ったら下がる。売ったら上がる。そういう結果を招いてしまうのは心の問題なんだ。FXの取引で一番の敵は自分の心理。」
「カバー取引ばかりしているFX業者では絶対に勝てない。」
などなど、いろいろな話に引き込まれていきました。

酔ったことをいいわけに押し倒されたらどう対応したらいいのか、とドキドキしていたことが滑稽に思えました。
それから朝まで、気にしなくていいよ、と言われながらも、何回かお化粧直しをしながら為替取引のコツを教えていただきました。
目からウロコとはこのことをいうんだと思いました。

新しい生き方

それ以来会社が終わってから、あちらこちらのホテルに宿泊しながらFXの取引をしている猪八戒先生の元に、あるときは心のままの姿で、あるときは背広姿でお邪魔するようになりました。
そこでは、今瞬間に動いているチャートを前にして、投資家の心理や取引の要諦、相場の見立てなど、実際にエントリ-と決済をしながらたくさんのことを教えていただきました。
それからは取引で損失は出しても、数時間後にはその損失を確実に取り戻せるようになりました。
当時はまだ悪戦苦闘していましたが、確実に利益が積み上がっていきました。
―私の人生に光りが射し込みはじめました。

これから少しずつになりますが、別のカテゴリーで猪八戒先生に教えていただいたことを書き記るしていきたい、と思っています。

しばらくしてから、
「何で私を部屋に誘ったの?」と聞いたら
「一人で生きていくためにちゃんと食わせたいと思ったから。」と言っていただいた言葉が今でも耳に残っています。

ドル円/今日の設定レンジ
上限は111.71円 下限は111.32円です

先週のアメリカのナスダックは3営業日連続で史上高値更新。

WTI原油も、カナダのパイプライン会社の原油漏れ事故を受けて在庫減少が懸念されて3日続伸。

ゴールドは反落。

クリスマス商戦の期待感もあってアメリカの経済は堅調なようです。

しかしドル円の上値は重く感じられます。

今日もしっかりと相場についていきたい、と思っています。