常勝必見の「ドル円/今日の設定レンジ」は毎日更新⇒

「イラン核合意」とは

10年数年ほど前の話。

医療用の放射性医薬品を開発する目的として、イランは高濃縮ウランの自国製造を開始しました。

これに対して国際世論は「イランは核爆弾を製造するのではないか。」と疑念を持ちました。

アメリカは各国に働きかけて「イラン産原油の取引禁止をはじめとする経済制裁」を実施。

2008年2月にはアメリカとイランの対立が激化して原油価格が1バレル120ドルまで高騰し、さらに同年7月にはイランによるミサイル発射問題もあって1バレル147.27ドルという史上最高値を記録しました。

イカ釣り漁船の一斉休業や貨物運賃の値上げなどの記憶をお持ちの方もいらっしゃると思います。

しかしこの年の12月には「リーマンショック」に端を発する金融・経済不安が起こって、12月18日には1バレル40ドルを割り込むなど波乱の一年でした。

そして翌年、当時のイラン政府は「核不拡散条約に加盟している我が国は核爆弾を持つことはない。」と否定しましたが、アメリカはその主張に耳を貸すこともなく経済制裁を増していったのです。

結果として原油価格は上昇して1バレル100ドル前後で推移することになりました。

そして2015年、米英仏独中露の6カ国とイランは、「核開発を制限」する代わりに欧米諸国が「経済制裁を解除」する取り決めをして、それが「イラン核合意」と呼ばれているものです。

その前年からOPEC(石油輸出国機構)の内部混乱があって、サウジアラビアが協調減産を拒否したことと相まって原油価格は下落。

昨年まで1バレル50ドル前後で推移していました。

採算ラインが1バレル70ドルといわれていた「シェールオイル革命」。アメリカの石油業界は、大打撃を受けました。

原油価格はアメリカの石油メジャーの一存では決めることが出来ないこともあって、機会を見つけては中東危機を煽って原油価格の高騰戦術を取っているのがアメリカ政府です。

それは今も昔も変わりません。

 

原油価格の行方

今回のトランプ大統領による「イランの核合意」からの離脱問題も、このことが話題になるにつれて原油価格が上昇して現時点では1バレル70ドルを目指す展開になっています。

世界一の産油国であり輸出国であるアメリカにとって、原油価格の上昇はきっと歓迎すべきことで、同じく原油の輸出に経済を依存しているロシアの株価も最近になって上昇してきています。

日本も石油製品が高騰して物価が上がってインフレ率が2%に近づけば、来年の消費税10%に向けて筋道ができるから財務省としては歓迎しているのではないでしょうか。

一方の欧州は、地理的に近い中東地域の不安定化は難民問題も含めて経済に対する影響への懸念があって、アメリカの「イラン核合意」からの離脱には大反対しています。

そして近年では立ち回りのうまくなった中国が欧州と一体となってアメリカに対抗。

アメリカ第一主義がアメリカ孤立主義への序章となってしまうのでしょうか。

経済の繁栄が正義なのか、世界の安定が正義なのか私にはよくわかりません。

表面上は「中東和平」を掲げているトランプ大統領に、だんだん嫌気がさしてきました。

2018/05/08(火曜日)
ドル円/今日の設定レンジ
上限は109.13円。下限は108.85円です。

「ドル円/今日の設定レンジ」今晩は設定レンジを外れるタイミングに注視

20180508_1uy_p

「ドル円・日足」動意に備えたマグマが溜まっているようです

20180508_duy_p

今日のドル円に影響を与えそうな要人発言

5月8日(火曜日)
翌3:00
トランプ大統領の「イランの核合意」からの離脱の是非に関する決定の発表

今日のトレード戦略

今晩の日本時間の9日午前3時に、トランプ大統領が「イランの核合意」からの離脱の是非に関する決定の発表を行いますが、今日の日本時間の取引には様子見感がありました。

しかし、アメリカの「イラン核合意」からの離脱に大反対している欧州勢はどう出てくるか、午後5時過ぎからの値動きには予断を許さないところです。

今晩は、突然の上昇や下落に慌ててエントリーして逆行の憂き目を見ないようにいたしましょう。

設定レンジの上限を越えたら、109.39円、109.71円、110.00円がターゲット。

設定レンジの下限を越えたら、108.72円、108.63円、108.40円をターゲットとします。

これから長い一日になりそうですね。

愛菜