私の暮らし

都会の喧噪から離れて暮らすようになってから8ヶ月が過ぎてはじめての冬です。
外の気温は3度。晴れ。
部屋のカーテンを全開にした窓のサッシを通して注ぎ込まれる太陽の光が暖かい。
鳥たちが思い思いの木に止まって「チュンチュン」とか「キュンキュルキュー」とか、まるで会話をしているようなさえずりに平穏な日々を感じます。

冬のはじまりの頃までは土曜日ともなると、ご近所の家に遊びに来るお孫さんたちの声や笑い声が聞こえていたのですが、手袋の中まで冷たさを感じるようになってくると、休日も普段の日と変わらなくなってしまいました。
そのかわり…、夕方になるとお漬物や出来立の煮物、お鍋を持って私の家に来るご近所さんがいます。ご近所といっても直線距離で100mは離れているけれど。

ご夫婦で小学校の先生をしていたというそのおじいさんとおばあさんは、私が越してきた当時は、この家には男と女がふたりで暮らしていると思っていました。

家で洗濯物を干したり、庭の花を手入れしたり、窓を開け放って掃除しているのは女の私で、
外で街のスーパーやコンビニに買い物にいったり、挨拶をかわしたりするは男の私。
でも一緒にいるところはみたことがない…。

ご近所さん

6月の初旬、おばあさんが突然訪ねて来られました。
ちょうどコンビニまで出掛けるところだったので男の格好。
「家の隣の畑を借りて野菜を作っているんだけど、よかったら奥さんに料理をしてもらって。」
と、新聞紙に包んだモロヘイヤをいただきました。
たまに道で会った時に挨拶をする程度でしたが、上品な雰囲気に包まれている方です。

それから一週間くらいして、
「キャベツとミョウガも採れたから。」と、今度は車のオイル交換から帰宅して玄関の鍵を開けようとしたときに背後から声をかけられました。

「先日はごちそうさまでした。味噌汁に入れて、それと茹でて長いもと和えていただきました。美味しかったです。ありがとうございました。」

そういえば、と思い立って、昨日実家から送ってきた包装されたままの泉屋のクッキーを奥の部屋まで取りに行く間、玄関の中で待っていていただきました。
玄関に出ている靴は男物だけ。
「あら?」と思ったのではないか、と気にした私でしたが、丁重なご挨拶があってお帰りになりました。
そんなことすら忘れて、翌日からも宅急便の荷物を受け取ってから、心のままの姿で生活していました。

おじいさんとおばあさんの来訪

それから更に一週間がたって、久しぶりに晴れていいお天気だったし、宅急便もお願いしていないから、いつも家の中にいる姿で掃除を終えて二階のベランダで洗濯物を干していたら、門の近くから
「おはようございます。」の声。
見ると野菜を届けてくれたおばあさんとその横にはおじいさんの姿がありました。
「台湾に住んでいる知り合いから凍頂烏龍茶が届いたので持って来ましたよ。茶器も持参したので一緒にどうですか。」
都会では考えられないようなご近所付き合いの洗礼を受けました。

「ちょっと待っててください。今降りますから。」といってから、スカート姿であることを思い出しました。
―マズイ。どうしよう。どうしよう、と自分の家にいるのに、心臓がバクバクしてきて、階段を降りてはまた上がって、を何度か繰り返して、着替えようか、でも、もう玄関の外まで来ている。
後から考えたら笑ってしまったのですが、その時に鏡をみて、お化粧はうまくいっている、と自分に納得したのです。

女装をする人って、より女性に見られたいからミニスカートやヒールの高い靴をはいたりするじゃないですか。
私の場合は、どちらかというと自分が納得したいだけだから、スカートの丈は長いし上はトレーナー姿で生活しています。

覚悟して

あーあ、また軽蔑される。ここにも住めなくなるのかな。
と思いながら、玄関の扉を開けました。

「どうぞお上がりください。先日はありがとうございました。」
「突然にごめんなさいね。茶器が素敵だったからふたりだけで飲むのも味気ないと思って。それと泉屋のクッキー。ありがとう。懐かしくて昔を思い出したわ。」

はじめてのお茶会

おふたりをリビングにお通しすると、おじいさんが茶器セットを箱から出して準備をはじめました。私は、お湯を沸かしますね、とレンジ台に向かおうとしたとき、おばあさんが私に聞いて来ました。
「今日は、ご主人はお出かけ?」

えっ?! わかってないの? 目の前にいるでしょう!目がわるいの?
でも本当はわかっているけど、私を傷つけないように思いやってくれているの?
嘘は付きたくないけど、今日はこのまま乗り切った方がいいの?
本当のことを言った後のおじいさんとおばあさんのリアクションが読めないし。
まさか卒倒なんてしないよね。
こういう場合はどう対応したらいいの?
どうしょう。どうしたらいいの?と考えていましたが、私から出た言葉は
「からすみ食べますか?」と、まったくのアホ。

結局、その日はおじいさんとおばあさんからは、「愛菜ちゃん」と呼ばれたままで終わりました。お昼を少しすぎるくらいまでお話していたのですが、言い出せなかった、というのが正直なところです。

カミングアウトしたけれど

それから何回かお茶をしたり、お昼ごはんを食べたりしたのですが、そのたびに
「ご主人は?」
と聞かれるので
「これから2時間くらいお話していいですか?」と言ってから、本当のことを打ち明けました。

私の話を途中で遮ることもなく、静かに聞いてくださっていました。
ひと通りのことを話し終えると

「ご主人が奥さんで、奥さんがご主人。ひとりで二役しているの? 大変ね。」とおばあさんの感想。
「私はご主人に会ったことはないけれど、愛菜ちゃんの方がいいな。」とおじいさん。
拍子抜けした私の感想は、―この人たちはB型なの?
<B型の人が読んでくださっていたらスイマセン。_(._.)_>

心が喜んでいます

信頼していた会社の先輩にカミングアウトしたら、いつの間にか周りから敬遠され、軽蔑され、ばい菌のように扱われて、そのことに耐えきれなくなって退社。
他人にわかってもらおうとすることにムリがある、と自分に言い聞かせてひとりで生きていくことを選んだ。
でも話し相手がいないから、声を出さないでいる淋しさがこみ上げてくることがあって、だからひとり言をいう私に笑っている私。
そんな私の近くに、男と女のひとり二役を受け入れてくださっている方々がいることに安堵と幸せを感じています。
あれほど真剣に心の病気のことを話したのに、気にしているのは私だけなの、と思わせてくれている素敵な隣人に支えられて今を生きています。

昨日のトレード

設定レンジの上限を越えたのが午前0時頃でした。
きれいなトレンドになってくれました。
上限や下限のレンジを越えて、それがトレンドになったら、おおよそですが、設定レンジ幅くらいは利益をだせるんです。自分でいうのも変ですが、不思議です。
30銭の利益でした。

昨日のチャートです。

20171215

 

よい週末を。(*^_^*)。